13.フェレット<食肉目イタチ科>
(1) 分類、品種
フェレットは食肉目イタチ科に属するイタチの仲間です。ヨーロッパケナガイタチを家畜化したもので、ウサギ狩りやネズミなどの退治のために、また毛皮用として飼われてきました。毛色のバリエーションは多彩です。品種によって性格に少しずつ違いがあるようです。
(2) 形態、習性、生理
体長30〜50p位、尾長10〜20p位、体重0.7〜3s位でオスよりもメスのほうが小さいのが目立ちます。後肢だけで立ち上がることができ、また体はしなやかで、前肢は短く器用ですので、かなり細い穴や通路でも素早く通り抜けられます。穴や隙間に潜りたがる習性があり、穴掘りも得意です。前肢の親指は他の指と向かい合うようについているので物を握ることができます。鋭い爪は猫のようには出し入れできません。夏毛と冬毛とに生えかわる換毛期があります。肛門腺をもち、驚いたり危険を感じたりすると強烈な臭いのする分泌液を霧状に吹きかけて防御しますが、この臭いはなかなか消えません。メスの繁殖生理は交尾排卵で、発情時に交尾をしないと、発情が止まらない「エストロジェン過剰症」というホルモン中毒を起こし死に至ることもあります。フェレットの原種は森林や沼地で地中に巣穴を掘って夜行性の単独生活をする肉食獣です。寒さには抵抗力がありますが、暑さには大変弱く、熱射病にかかりやすい体質があります。寿命は6〜10年位で、性成熟はメスが7〜10ヵ月位、オスが8〜12ヵ月位です。妊娠期間は約40日、1回で3〜7頭を産みます。生後約1ヵ月で離乳します。
人馴れしやすく、馴れたものは噛んだり攻撃したりしません。しかし、怒っているときに無理にさわろうとしたりすると咬まれることがあります。オス、メスとも性成熟する前(生後6ヵ月頃が適当といわれます)に不妊手術をすればおとなしくなる傾向があります。肉食のため、猫と同じように糞の臭いは強めです。しかし、体の手入れや掃除を怠らなければ、気になるほどの臭いは出しません。通常は近所迷惑になるような鳴き声は出しません。
(3) 飼養上必要な施設、機材及び環境
室内のケージ飼いが一般的です。1つの収容物での複数飼いは可能ですので、どうするかにより収容物の大きさを考えます。中が2階建て以上の造りになったものなどフェレット専用の金属製ケージが色々と市販されています。
床は足を挟まない程度の隙間があいた木製すのこにし、その下に新聞紙を敷いておくと掃除に便利です。床の隅に食器2個とトイレ(壁際や四隅に排泄する習性がありますので、入り口以外が高くなった専用のものが市販されています。中に猫砂を敷きます)を置きます。寝床として、ふわふわしたものを好む性質があり、ハンモックや布製のトンネルなど色々と市販されているものや自家製のものを工夫して、適当な場所に設置します。給水ビンは、多くの水を飲みますので専用のものを使用します。脱走防止のため扉の留め金(ナスカン)も必要です。部屋に出したときにも安心して休める場所として木製の巣箱(中に指を引っかけない布などを敷きます)か市販の専用テント又は寝袋、その他トイレも用意しておきましょう。
飼養環境としては、特に暑さに弱いということを考え、夏季は直射日光が当たらない、風通しのよい涼しい場所にケージを置くことが大切です。寒さには抵抗力がありますが、急激な温度差や隙間風は悪い影響を与えますので注意しましょう。人間の生活サイクルに合わせられますが、いつも明るいという状態にしないよう配慮することが大切です。
(4) 飼い方のポイントと注意点
遊び好きで、コミュニケーションをとる時間が少ないとストレスとなります。留守がちな飼い主の場合、複数飼いも考慮する必要があるでしょう。
肛門腺からの分泌物は人体に悪影響を与えますので必ず肛門腺除去手術をした個体を飼うようにしましよう。また、繁殖を希望する以外では、1頭飼いの場合でもメスは必ず不妊手術をした個体でなければなりませんし、飼いやすさの観点からオスも不妊手術をした個体が適当です。なお、この不妊手術の必要性は、万一逸走した場合に、生態系を崩す危険がありますので、その観点からも特に注意する必要があります。
フェレットは食物の消化時間が短く“貯め食い”ができませんので、1日に少しずつ何回かに分けて食べる習性があります。したがって、基本的には朝夕の2回食事の世話をするようにし、好きなときに食べられるように主食は容器に入れたままにしておくとよいでしょう。肉食のため高タンパク、高タウリンを必要とします。そのために製造された専用のペレットを主食として与えます(生後3ヵ月位までの幼獣には猫用のミルクでふやかして1日に6、7回に分けて与えます)。主食だけでは飽きますので、ゆでた鶏肉やペット用煮干しなどの動物性食物もおやつ程度に与えます。野菜、果物、イモ類も好物ですし、専用のドライフルーツもあって、ふれあいを図るための利用には有効ですが、植物繊維は消化しにくく下痢の原因になりますので与えすぎに注意が必要です。水はかなりの量を飲みますので切らさないように注意することが大切です。糞の臭いが強いのでトイレの掃除はこまめにするようにしましょう。
フェレットはふれあいが大切で、毎日1時間位は室内で一緒に遊んでやらないとストレスとなりますから、小さいときからのしつけが重要です。手を咬んできたら指ではじいて叱れば徐々に咬まなくなります。
トイレは隅のほうにする習性がありますので、しやすい所を見定めておき、臭いをかぎながらウロウロしたり、尻尾を持ち上げて後ろにさがっていくような動作をしたら、トイレに連れていきます。寝起きのときや食事後にすることが多いので、そのときは注意深く見守って失敗させないことがコツです。体の隅々までさわって人の手にも十分に馴れさせておけば、爪切りや耳掃除、ブラッシングも容易となります。ブラッシングは換毛期には毎日することが大切です。爪切りや耳掃除も適宜必要です。本来、水を嫌いませんので、コミュニケーションのため、また体を清潔に保つためにも、たまにシャンプーをしましよう。しかし、やりすぎは皮膚を乾燥させますので、1ヵ月に1〜2回を限度にするようにしましょう。胴輪を使って庭や外の散歩も可能です。道路などは車や自転車などとの事故防止のためキャリーバッグに入れるか抱いて歩き、空き地や公園などの安全な場所で目を離さないようにして遊ばせたり連れ歩いたりするのが適切です。脱走の名人であることに留意し、ケージの扉は厳重に留めておくこと、室内で遊ばせる場合には予め窓やドアは閉めてあるかどうか確認して逸走防止を図らなければなりません。
(5) 健康と安全の管理
室内で遊ばせることが必要なフェレットの場合は、安全のため特に次のような点に注意しましょう。すなわち、思いもかけないようなところにも潜り込んで出られなくなる場合もありますので家具類の下などの隙間は塞ぐこと、誤って踏んだりしないよう洗濯物などを取り除いておくこと、高さがわからないので落下による椎間板ヘルニアなどの予防のため高いところに登れる足場となるようなものも取り除いておくこと、ぬいぐるみや羽毛マットなどの毛のあるものは本能的に咬んで毛球症を引き起こしやすいことや、ストッキングやゴム製品などの異物の飲み込みも多いので、これらもまた取り除いておくことです。また、無理な姿勢で抱いたり尻尾を持ったりすると脱臼や骨折の原因になりやすいことにも注意する必要があります。
@ 主な病気と予防
1)犬ジステンパー
感染すると死亡は免れません。ワクチン接種が必要です。
2)インフルエンザ
人間のものも感染します。くしゃみをしたり、鼻水が出ているようならすぐに獣医師の診察を受けましょう。
3)副腎の腫瘍等
早期の不妊手術などが原因で副腎に腫瘍や障害が見られます。脱毛などが起きますが、腫瘍の場合はしこりがあるのに気付くことがあります。
4)低血糖
食事の回数が不適切な場合や、空腹によって起きます。弱ってヨダレを垂らし、食物を受けつけなくなります。保温して糖分を与えましょう。
5)腸閉塞
換毛期などに毛を飲み込んで起こしたり、前述の異物の飲み込みが原因であったりします。
6)フィラリア
犬と同じです。
A 人と動物の共通感染症
サルモネラ症、カンピロバクター症、狂犬病、レプトスピラ症などが可能性として考えられます。
(6) 飼養上の知っておきたい法律、手続き等
条例により飼養開始の届け出を義務づけているところがあります。