7.ケヅメリクガメ
(1) 分類、品種
ケヅメリクガメ(Geochelone sulucata)はリクガメ科のカメで、アフリカのサバンナ地帯に分布しています。
(2) 形態、生理、習性
大型で活動的なリクガメです。甲長は70pを超え、大きな個体は一人の人間では持ち運べないほど重くなります。最大級の個体では、甲長83p、体重104sという記録が残っています。大量に食べ、大量に排泄します。
乾燥系のリクガメで、大変丈夫で、急激に成長します。強大な前足で穴をほり、日中の暑さをしのぐ習性がありますので、飼育下で放し飼いにしていると、隙間にもぐりこもうとして様々な家具、家財を破壊します。
(3) 飼育上必要な設備と機材
理想的には、牛の放牧場のようなスペースを確保して、広大な敷地を自由に歩かせ、生えている牧草を食べるがままにさせておくのが一番です。実際に、この大きくて活動的なカメを室内に持ち込んで飼育することは、室内でヤギと同居するような覚悟を必要とします。室内では、衣装ケースやコンクリートをこねる桶などに収容しますが、満員電車から一歩も出ずに一生を過ごすのに等しい環境ですから、愛護の精神には反します。ただし、放し飼いにする場合、大量の排泄物をまきちらしますので、人間用の紙おむつを付けるなどの工夫をします。また、激しく歩き回り、怪力で隙間にもぐりこみますので、家具を壊されたり、ものを倒されたりしないような場所を選ぶ必要があります。
HIDランプも倒されて火事にならないように設置します。
低温にも耐久性のあるカメですが、冬は保温して飼育します。保温の原則は背中からの強力なライトの照射で、やはりHIDランプが理想的です。腹を温めるマットヒーターだけで保温することは危険なので絶対にしてはいけません。
(4) 飼い方のポイントと注意点
餌は植物食です。巨大な個体は大量に食べますので、餌の確保が大変です。野菜などはコストがかかりますので、桑の葉や葛の葉など、野草を大量に調達します。農地を借りて餌を栽培している人もいます。干草に餌付けると冬の間の餌の管理が楽になります。ヘイキューブやチモシーグラスなど、敷き藁兼用で与えるとよいでしょう。餌を食べたら消化のために、背中に光線をあてて十分に体温上昇させてやりましょう。急激に成長しますので、ミネラルの補給と適切な日光浴が必要です。
庭などで飼育する場合、破壊力があるのでかなりしっかりした囲いを建築しないと脱走します。巨大な個体を自動車が轢いた場合、自動車への損傷が激しく、大変危険な結果を招きかねません。
(5) 健康と安全の管理
脱水と高たんぱくな給餌(大豆など植物蛋白であっても過給は不可)ならびに運動不足で、膀胱結石になりやすく、手術しないと死亡するような重症も多いです。運動で十分に四肢を発達させ、十分に水を与え、かつ適切な餌を与えましょう。日ごろから、白い尿酸が排泄されているか観察を怠らないようにします。呻くような泣き声をあげはじめたら動物病院でレントゲン検査を受けるようにしましょう。
室内で、狭いケージで飼育する際、掃除が行き届かずにジメジメしていると、甲羅が感染症を起こしてしまいます。背中から十分な熱量と明るさをもった光をあてずに、マットヒーターだけを使用すると、過剰にヒーターの上で過ごしてしまい、低温火傷で同様に甲羅が感染症を起こします。ときどき裏返して甲羅の覆面をチェックして、変色したり、じくじくしたりしていないか観察しましょう。
(6) その他の特記事項
巨大に成長したあとの飼育放棄があとをたちません。動物園の入り口に置き去りにしてくるような例が多いようですが、大きなケヅメリクガメを喜んで収容する動物園は存在しません。